こんにちは台北パスポートの大野です。最近台湾で知り合った日本メーカーさんと話をする機会があったのですが、なかなか大手メーカーさんといっても赤字となってしまっているようで、海外進出の難しさを感じました。競合する台湾現地のメーカーは、これまた台湾では有名でもあるので大変だと思います。
今回この話を記事にするにあたって、こちらの日本メーカーと台湾の競合メーカーのHPを見比べてみたのですが、日本メーカさんだけ自社サイトにカート機能がないというところに気がつきました。
自社だけ販売チャネルが一つない状態というのは、競合が複数あるなかで消費者の囲い込みにおいて、だいぶ不利な状態ではないのかなぁ、というのが私の私見です。では今回は台湾の消費者の傾向を話していきたいと思います。
台湾でよく使われるECモールのランキング
2023年のよく使われてたECモール
- 蝦皮購物(SHOPEE)・・・91.1%
- momo・・・75.7%
- PChome・・・71.1%
- 各メーカー/ブランドの公式サイト・・・64.2%
- yahoo・・・41.1%
2022年のよく使われてたECモール
- 蝦皮購物(SHOPEE)・・・89%
- momo・・・63%
- PChome・・・57.1%
- 各メーカー/ブランドの公式サイト・・・46.4%
- yahoo・・・18.8%
参考:BOXFUL電商物流
全体のEC浸透率が向上し、半数以上のユーザーがブランド公式サイトで注文
2023年のよく利用されるECプラットフォームの順位はShopee、momo、PChomeとなってます。4位に各メーカー/ブランドの自社公式サイトが位置しています。対前年比ではブランド公式サイトで注文する人も前年の46.4%から64.2%に増加し、半数以上のEC消費者がブランド公式サイトで注文しています。
有名どころの大きなECプラットフォームで買い物するだけでなく、自分が好むブランドの公式サイトでも注文することが増えてきていることがわかります。ちなみに台湾のネット通販の利用率は約43%になります。
ネット通販サイトで常に買うもの
1番購入されるのが「日用品」で、次いで【アパレル/装飾品】
データとしてはリピート購入とまでは書いていなかったですが、もっともよく買う商品カテゴリーとして、上位のランキングとなってます。「日用品」においては70%近くの人がネット上で購入しているようですね。洗剤やティッシュなど消耗品があると考えれば納得です。アパレル/装飾品に関しても3割近くと多いですね。
ペット用品需要の増加
ペット用品に関しては上記の順位で見る分には低いのですが、2023年の台湾の農業部の調査で犬と猫を飼う世帯数がだいぶ増えてます。数で比較した場合、全国で飼われている件数は148万匹で、2021年の124万匹から19%増加しました。一方、猫に関しては131万匹で、87万匹から50%も大幅に増加してます。
その割には感覚として街中でペットショップをあんまり見かけないなぁ、と思ったのですが、調べたところ台湾政府が2017年に「流浪動物零安樂死(野良犬殺処分ゼロ)」政策を開始してから、保護動物の里親になることが一般的になってきました。
通りでペット用品の展示会に行くたびに、動物保護団体が積極的に里親募集活動を行っていたなと思い出しました。
消費者に支持されるECモールの必須条件
1.送料無料
台湾に限らずですが、特に台湾では消費者にとって送料無料はかなり重要なポイントです。オンラインショッピングの利便性を最大限に活かすためには、追加費用がかからないことが重要。多くのプラットフォームが一定金額以上の購入などで送料無料を提供しており、これが消費者の購買意欲を高める要因となっています。
2.割引
お得に買い物ができるかどうかは台湾の消費者文化に深く根付いていると言っていいと思います。季節ごとのセールやクーポン、ポイント還元などの多様な割引制度を提供するプラットフォームにこそ、消費者への注目を集めることができます。特にここ近年「双11(ダブルイレブン)」や「双12(ダブルトゥエルブ)」などの大規模のセール期間は、祭りさながらの多くの消費者を惹きつけています。
3.受け取りの便利さと柔軟性
台湾のほとんどの人は共働きや長時間労働などで自宅に人がいないことが多いです。そのため、商品の受け取り方法の柔軟性は非常に重要で、今ではほとんどのプラットフォームがコンビニでの受け取りができるようになっています。
4.商品種類の豊富さ
殆どの物を一つのプラットフォームで購入できる「ワンストップショッピング」の概念は台湾でも人気があります。食品から電子機器、ファッションアイテムまで、幅広い商品を取り扱うプラットフォームが重宝されています。また、海外ブランドなどの国際的な品揃えを持つプラットフォームとなれば高く評価されていきます。
台湾消費者が実店舗で商品購入を選ぶ理由は?
1.価格
実店舗での買い物もネットショッピング同様、少しでも安価な店舗を選ぶ傾向が強いです。セールやディスカウント情報にも敏感です。また、ポイントカードやメンバーシップ特典なども、店舗選びの重要な要素となっています。
2.安全性への意識の高まり
2024年現在、多くの消費者は、ネットショッピングという選択肢がありながらも、適切な衛生管理がなされた実店舗での買い物に独自の価値を見出しています。例えば、店内の換気システムが充実していることや、定期的な消毒が行き届いた清潔な環境で、実際に商品を手に取って確認できる安心感は大きな魅力となっています。パンデミックを契機に確立された高水準の店舗管理は、今や実店舗での買い物の付加価値として定着し、むしろネットショッピングとの差別化要因として機能しているのです。
3.実店舗の利便性
オンラインでの買い物では支払い情報の入力や確認に時間がかかることがありますが、実店舗では商品を選んだその場でスムーズな決済が可能です。また、支払い方法についても、現金やカード、電子マネーなど、その時の状況に応じて柔軟に選択できる利点があります。さらに、ネットショッピングでは配送を待つ必要がありますが、実店舗では購入したその場で商品を手に入れることができ、急な必要にも即座に対応できます。特に、商品が期待通りでなかった場合の返品や交換についても、オンラインでは梱包や配送手続きが必要ですが、実店舗なら直接スタッフと相談しながらその場で対応できる安心感があります。
4.購買体験
単に商品を購入するだけでなく、楽しい質の高い購買体験が求められている傾向となっています。商品知識が豊富で親切な接客スタッフの存在や、店内の清潔さや快適な空調管理など、心地よい購買環境なども消費者が購買を決定する重要な要素となっています。また商品が探しやすかったり、比較検討がしやすい陳列方法なのでスムーズな買い物体験ができることも重要です。実店舗であれば実際に商品を手に取って試着できたり、使用感をテストできたりと、一つ一つの要素が組み合わさって、実店舗での買い物志向の向上につながっています。
5.店舗のブランドの信頼性
台湾の消費者は、信頼できるブランドや店舗を重視する傾向が強くあります。特に、創業以来長年にわたり実績を積み重ねてきた老舗店舗や、厳格な品質管理体制で知られる有名ブランドへの信頼は厚いものがあります。また近年では、SNSを通じた口コミや評判も、店舗選びの重要な判断材料となっています。さらに、購入後のサポートも重視されており、充実したアフターサービスを提供する企業は、消費者からの強い支持を得ています。このように、台湾の消費者にとって、ブランドや店舗への信頼は、単なる知名度だけではなく、歴史、品質、評判、サービスなど、多角的な要素によって形成されているのです。
以上、今回はネットショッピングと実店舗にそれぞれ求められる事と理由について、お話させて頂きました!また次回もぜひご覧下さい!
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